★★★








『おまえっ…だから、好きだって言ってんだろうがああぁぁっ!!』



…そう叫び掛けながらも、我に返ってきて、しばし後悔を始めていた。

なぜ、こんなことになっちゃってるのか。

あぁ、わかってる。

すぐにキレる、懐の小さい俺が悪い。



けど、前に出てしまった以上。

もう、引き下がれない。




「…待て!…逃がさない!」

「わわっ!」



少し身を前に乗り出し、手を伸ばす。

届いた手はなずなの腕を掴んだ。

途端にビクッと震え上がっている。



「わ、わ、悪かったごめん!だから怒るな!怒るな!爆ギレお坊っちゃまになるな!」

「…だから、お坊っちゃま言うな!…っつーか、逃がさない!さっきの返事を聞くまでは!」

「へ、返事?」

「告白の返事!」

「なっ…!」



こんな展開、返事どころじゃないのもわかってる。

しかし、ギアが上がったままで、なかなか冷静になれないのは。

なぜか涌き出る焦燥感というやつもあるからだろうか。



早く…早く捕まえさせてくれ。