「でね、でね、若い鹿の肉はもう赤身のビーフみたいな感じで、肉汁ブシャーなんだと。獣臭さは、北海道民ならラム食べ慣れてるからか全然気にならないから全然イケると…」
そう言って、なずなはその写真を見ながら、なぜか「えへへ…」と照れ笑いをしていた。
照れ笑い?…肉食べる時に出る喜びの笑みともいうべきか。
この照れ笑い、可愛くて個人的には好きなんですけど。
そうか。
鹿肉の話で盛り上がっていたのか。
こんな鹿肉料理の写真見て、デレデレしてるとは…。
やはり、こいつは色気より肉か。
でも、内心ホッとする。
「蓑島さん、ジビエ料理に興味あるんだと。将来はハンター免許取って猟友会に入りたいらしい。猪も美味いって…」
「熊肉なら食ったことあるぞ。忠晴がジビエ料理好きだから、昔、忠晴の誕生日にみんなで食べに行ったことがある」
「おおぉぉ!橘家の行くとこだから、格式高い高級料理店だろ!」
「どこだっけ…プライベートジェットに乗って行ったから、場所覚えてない」