すると、凌憲は「あっ」と気の抜けた声を出す。
「…あ、そうそう。なずなさん。なずなさんだ。知ってるよ?」
「な、な、何で?どこで知り合ったの?」
思わぬところで繋がっている、交友関係。
先日の潜入捜査で、凌憲となずなが顔見知りであることが発覚。
セレブ学園在籍の知性派お坊っちゃまと、ギャル。
ただでは知り合うことが出来ない二人だと思われるが…。
しかし、凌憲の返答は思わぬもので…。
「なずなさんは、ウチの顧客なんだ」
顧客…。
お客さん?
「…は?」
何らピンとこないので、思わず問い返してしまう。
「うん。なずなさんは、ウチの店のお客さん。もう三年ぐらいはウチをご贔屓にしてくれてるんだ」
「ウチの店って…着物屋さん?」
「そう」
「…はあぁぁっ?!」
思わず大声が出てしまった。
なずなが…お着物?
凌憲の実家の店で…お着物?!
お着物を買っているのか…!
ギャルがお着物…?!
和装…何故!