…でも、俺だって思うよ。
耳障りで、不穏な悲鳴だったけど。
【にんげ…ん…にげて…】
【…くるしいよ…いたい…よ…】
ただ、悲痛と苦痛を訴え、切なくて。
【…もう…つかれ…た…おなか…すいた…】
疲れは癒せただろうか、お腹は満たされただろうか。
【…お…かあさ…ん…ごめ…んなさ…い】
帰るべき故郷に戻って、お母さんに…会えただろうか。
そう案じてしまうぐらい、あの悲しい悲鳴が耳に焼き付いて離れなかった。
だけど、田丸さんとのエピソードは…驚いた。
まさか、田丸さんが魔獣を庇おうとしてたなんて。
でも…魔獣も、手を差し伸べられて。
救いたかった命を守ることが出来て、心を通わせることが出来て。
不穏な悲鳴をあげることは、もう…無いと思う。
「…お、そういや忘れんなよ?」
「何を?」
「何って…さっぽろグリエのステーキ二枚。ご褒美、ちゃんとよこせよ?すっとぼけて逃げるなよ?」
「あぁー。…わかったわかった」
「今の間は何?…私が言い出さなかったら忘れてただろ!…このっ伶士いぃぃっ!」
「………」
…もし、嘘でも忘れてたなんて言ったもんなら。
こいつ、不穏になるだろな。



