すると、魔獣の声が聞こえる。
【にんげん…ありがと…】
犬や猫のように、魔獣は田丸さんに顔を擦り寄せていた。
【たすけてくれて…いきてくれて、ありがとう…】
『…ありがとう!僕も…ありがとう!』
魔獣と人間が歩み寄り、心を通わせる。
手を取り合うように。
今までにないケースに、弓削先生は最高潮に興奮し、綾小路室長に『うるさいですよ』と怒られたらしい。
そして、その直後に魔獣は魔界へと帰還することになる。
田丸さんや凌憲、術者の皆さんに見送られて。
魔界へと、帰っていった…。
「へぇ…?」
「いひひひひ」
「良い話じゃねえか」
「いひひひひひ」
この話の途中から、なずなのニヤニヤが止まらない。
悪巧みのニヤニヤというよりは…喜び、幸せのニヤニヤだ。
「…魔獣も少しは報われたかな、と思って。人間界での思い出が、可哀想なモノばかりってのも」
「…そうだな」
「こういうことあると、何か幸せ。この仕事も捨てたもんじゃないって思うよ」
そう言って、またなずなはえへへと笑う。
その幸せ満喫の笑顔に、俺は反応せざるを得ない。
ちくしょう。かわいいな。



