「…あの時、俺にもっと信頼出来る『仲間』が学園にいたら、よかったな…」



そう呟く兄貴は、やはり。

どこか寂しそうだった。



…兄貴は、完璧で友達も多い。

とは、思っていたけど。



兄貴も兄貴で、いろいろ本当に大変だったのでは…と、思わざるを得ない。



「…まあ、VIPがいなくなった今、今後の高等部に乞うご期待」

「…え?」

「伶士の仲間たちなら、やってくれるでしょ?未来ある学園作り?」

「でも…」



気がかりなことを思い出してしまった。

警察に連れていかれた薫たちや、VIP。

そんなめちゃくちゃになった学園に残された、凌憲たち。

どうなってしまうのか、という…。



しかし、兄貴は俺が何を心配かわかったのか。

「大丈夫」と、一言添える。



「…ドン底まで落ちて、何も無くなってしまったら。新しいモノを作って這い上がるしかないんだよ?」

「兄貴…」

「ピンチはチャンス。仲間を信じるしかないさ」




…気がかりは、まだ残ってる。



けど、兄貴の本音が聞けた。

それだけは、嬉しかった。




でも…自分が何も出来ない無力なら。

信じるしかないのか…。