「はあぁぁ…ったく、何でそこに食い付いてくるかね。わかったよ…こっち」
そう言って、掴まれた腕をクイッと動かす。
場所移動を求められた。
やった。勝った…!
「っつーか!いつまで掴んでんの!」
「このまま行く。逃げられるから」
「逃げませんよ!」
しかし、信用できないので、ヤツの左腕を掴んだまま、一緒に移動する。
獲物捕獲連行の図。
辺りをキョロキョロ見回しながら「こっち」と指示される。
廊下の奥まった隅にテーブルと椅子が置いてある、ちょっとしたテラス席だ。
「座ろ。…っつーか!いつまで掴んでんの!もういいだろ!」
「…あ、はいはい」
「ったく、いつからそんな強引キャラになったんだお坊っちゃまは!」
バッと腕を振り払われ、ぶつぶつ文句言いながら椅子に座っていた。
強引、確かに。やり過ぎたかな。
先に椅子に座ったなずなは、長く巻いた髪をかき上げてから、テーブルにタブレットを置いて画面をタッチしている。
それを覗き込みながら、俺も隣に座った。
…そして、今一度、辺りをキョロキョロ見回して、人がいないのを確認。
それから、小声で喋り出した。



