慌てて立ち去ろうと、飛び出すなずなを後ろから腕を掴んで捕まえる。
飛び出しに勢いがあったのか、なずなの体がガクンと揺れる。
「な、ななな!」
「陰陽師の依頼か?何で北桜学園に?妖怪でも出たか?なぁ?」
「あ、あんた!何でそんなにグイグイくるの!ねえ!」
「気になるもんは気になるんだから仕方ないだろ」
「ち、ちょっ、離せっつーの!」
そう言いながら、掴まれた腕をブンブンと振り払われそうになる。
しかし、そこは決して離さない。
離したら速攻で逃げるぞ?この生き物は!
質問に答えるまで離すか!
「離せ!…離せ!この痴漢!痴漢ですよ!皆さん!きゃー!助けてー!」
「………」
何を騒いでるんだ。
今さらか弱いフリしてもダメだぞ!
その証拠なのか、通りすがる生徒はチラ見してスルーしていくだけ。
…ほら、日頃の行いが出たぞ!
「………」
「うっ…」
腕は離さないまま、ヤツをじっと見続ける。
すると、観念したのか、ヤツは大きくため息をついていた。



