好きだと言ってしまった…!



「………」



なずなからは何の反応もない。

わかってる。わかってるよ。

このタイミングじゃなかった…!



恐る恐るなずなの肩から顔を離して、その顔を上げる。

なずなの様子をチラッと伺うが。



「………」



なずな、目を丸くして固まってる…!



「な、なずな、あのっ…」

「…ん、ん?」

「…あ!いた!…伶士!」



次のセリフを口にしようとした時。

遠くから名前を呼ばれて、ガクッとさせられる。

この声…凌憲?!



がっかりとしながら、声の方に目をやると、やはり声の主は凌憲だった。

傍には、生徒会長の仁木さん、そして…先ほどなずなが救出した伊藤さんがいる。

俺達を見つけた凌憲らは、こっちにやってくる。

慌ててなずなから離れてしまった。



「凌憲、まだいたのか?」

「うん。仁木さんと生徒会室で待機してたんだ。まさか伊藤さんが…」

仁木さんの隣にいる伊藤さんが、ペコリと頭を下げる。

先ほどの件もあるからか、まだ元気のない様子だけど。



「…警察がさっきの件で伊藤さんに話を聞きたいって、これから警察本部に行くんだ。僕らも付き添う」

「そ、そうか…」