その一言には、固まっていた薫も表情を強ばらせる。
「そ、それは私だって…!」
「わかってる?へぇ?…あんた、伶士が優しいのを知ってて、泣いて謝れば許して貰えるって、思ってるんだろ?」
「だ、誰もそんなこと!」
「…手の内知っててずるいんだよあんたは!」
なずなの迫力は半端ない。
一度ならぬ二度までも薫を怯ませる。
反論するタイミングに間を開けてしまった薫を、ふんと鼻で笑っていた。
「…あんたのことは、バカ兄貴から聞いてる」
え?兄貴から…何を?
「意識が高く、上昇志向でストイック…だが、自分の立場を守るためなら、他人までをも蹴落とす。それが自分の彼氏であっても」
「は…?」
「バカ兄貴に近付いたのも、レディクラに入るため、学校での自分の立場、価値を上げるため、ただそれだけ。そして、自分の立場を守れる強みになる男へと乗り替えていく…バカ兄貴は気付いてたぞ?ペテン師っぽいけどなぁ?」
兄貴が…そんなこと言ってたの?
「な、何なのよ何なのよあなた…頼智さんがそんなこと言うわけ…」



