「薫…?」
付き添っていた警官が、薫が輪から離れた事に気付き「待ちなさい!」と追ってくる。
しかし、それを振り切ってまで、必死な面持ちで俺の目の前に現れた。
「伶士…話を聞いて…私、あんなバケモノ地下で飼ってるなんて、恐くて誰にも言えなくて…」
「ど、どうした…?」
「それに、私…やってない!クスリなんてやってない!…やってないの!信じて!」
「………」
わざわざ俺に弁解しに来たのか…?
何で?
…だが、何て返したらいいのかわからず。
俺は、薫の必死の形相の前に、ただ黙っているしか出来なかった。
しかし、薫は間を置かずに言いたいこと主張したいことをどんどん訴えてくる。
「あと…裕貴さんのことも違うの!」
「違う…?」
「私が好きなのは伶士だけだよ?…あの時言ったことは嘘じゃないっ…!」
「か、薫…?」
「伶士、好きだよ?…私には、伶士しかいないの…」
(え…)
いったい、何なんだこれは。
そんな必死の形相で、今のこんな状況で、何を言ってるんだ?!
わからない。薫が何を言いたいのか、したいのか。
いつもと違うその様子は…自分を見失ってさえいそうで。
恐ろしくも感じた。



