体を包んでいたスライム状のモノは無くなっていて、台車の上にちょこんと座っている魔獣。
先ほどの狂暴さは消え失せ、きょとんとしている。
あの変な鳴き声も出さず、静かにキョロキョロしていた。
「こーれが、異世界のバケモノか…」
俺の隣には、いつの間にかあの暑苦しいデカチョーがいた。
ほぉーと感心しながら、魔獣を見上げている。
すると、目が合った。
「おう、モグラご苦労さん」
そう言って、俺の背中を叩く。
「は、はい…」
「今回は大手柄だ。出所掴めなかった若者向けの販売ルートの尻尾が掴めそうだ。よくやったな」
「はぁ…」
それだけを俺に告げて、デカチョー山さんは去って行った。
(よくやった…か)
誉められているのに。
単純に喜べないのは、何故だろう。
また俯いてしまった顔を上げることが出来なかった。
(………)
「…伶士、大丈夫か」
目の前には、なずながいる。
大丈夫って…。
「あ、うん…」
「魔獣が地上に運び出される。そろそろ行こう」
複雑な思いを抱えて、何となく前を見れないまま。
ただ、なずなの後を着いていった。



