その冷ややかな一言は。
あれだけあーだこーだ騒いでいた連中を一気に絶句させ、黙らす。
「…大事なのは、そこですよ?こんな動物園にいるような大きさの生き物を、学校の地下で飼っていることに、何の疑問を持たない。そこは、一般常識からかけ離れてるとは思いませんか?」
その、冷ややかな綾小路室長の静かな反論は続いていた。
「ましてや、そのバケモノのいる檻に人間を閉じ込めて、恐怖に怯えるその姿を観賞して笑っていたんですよね?…条例云々の話ではなく…立派な監禁、傷害、恐喝だと思いますけど?」
「ぎ、疑問に思ってなかったワケじゃありませんっ…」
そこには、猪狩が。
手も声も震わせながら、俯いたままようやく喋っている。
「…猪狩おまえぇぇっ!」
高橋の怒号が飛ぶが、猪狩がそれをビビって気にする様子はなく。
「…で、でも…言えなかった…。否定すれば、今度は自分がやられる…それが、恐かった…だから、言えなかった…。でも、それ自体がもう『罪』なんですよね…?」
「………」
そう言い切って、ああぁぁ…と、猪狩は項垂れる。
こいつは…わかっていたんだ。



