「これが横行すると、犯罪率も上昇し、迷宮入りの事件がたくさん増えてしまうんですよね?…ですので、条例を定めて我々が取り締まっております」
そうにこやかな笑顔で説明してるが…その内容は、全然にこやかになれるものではない。
その証拠に、ざわめきどよめいていた連中は、反論し始める。
「し、知るワケないだろ!こんなバケモノ飼っちゃダメだなんて条例…!」
「誰も教えてくれるワケないもの、わからないよ!」
「そ、そうよ!そうよ!」
言い訳ともとれるその猛抗議に、綾小路室長はうんうんと頷いている。
「うんうん、えぇ、そのお気持ち、よくわかりますよ?こんな条例あるなんて、学校では勉強しませんし、恐らく大概の大人も知らないでしょう。この『魔獣の所有、飼育』を禁ずる法律に関しては、『知らなかった』『わからなかった』で済ますことが出来るでしょう…ですが」
そこで、にこやかな室長の目付きだけがガラッと変わる。
あれだけ穏やかで人当たりが良さそうなのに…目だけなぜか冷ややかになっていた。
「…学校の地下で、バケモノを飼っている。…その事に疑問は持たなかったのですか?」