俺のボディガードは陰陽師。~第三幕・不穏な悲鳴~


そう叫んで、なずなは魔獣の前にバッと飛び込んでくる。

正面に立ち、両手を拡げて訴えかけた。



「…私がおまえを止めてやる!…これ以上人間を傷付けさせない!」



ギョロギョロと動いていた魔獣の視線は、なずなを捉えて止まった。

そして、今一度、大きな鳴き声…悲鳴をあげる。

長く、長く鳴いている。



「…何年もまともにメシ食ってないから腹減っただろ?…弓削先生に頼んで、魔界の泉の水、持ってきてやるから!」



あまりの大音量で、なずなの声は魔獣の鳴き声に掻き消されている。

でも、それでもなずなは呼び掛ける。



「…絶対、元の世界に返してやるから!…言霊『鎮魂』」




そして、胸元で手を合わせる。

足元からフワッと風が吹いた。



一瞬、訪れる静寂に。

言霊が風に乗せられる。



「…群青の空・白銀の雲・金璽鳥の羽衣・冴緑の雫…」



なずなの体から、柔らかく白い光が、ポワッと放たれる。




「…伶士!」

「薫?!」



その時、薫が引き返して俺の元へと駆け寄ってきた。

来るなり、俺の腕を掴んで引っ張る。



「な、何?」

「伶士も逃げよう!」