「…凶暴化した魔獣は、人間を襲う!ターゲットがたくさんいたら、術をかけようにも動きが定まらない!…だから、早くおまえら出ろ!」
「…えっ?!何?」
「きゃあっ!怖いっ!やだー!」
なるほど。
なずな、陰陽術の何かで魔獣を食い止めるつもりなのか。
だけど、狙うべき人間があちこちにいたら、魔獣も落ち着かずにあちこち暴れる羽目となる。
「…みんな!…早く部屋から出るんだ!魔獣に捕まる前に!」
「橘っ…!」
「ここはなずなに任せろ!」
あちこちに逃げ惑う奴らを誘導するつもりで、出入口を指差して呼び掛ける。
行き先を提示すると、どうすれば良いかわかったのか、全員一斉に出入口の扉の方へ向かっていく。
残っている者はいないか確認のため、辺りを見回していると。
遠くにいるなずなと目が合う。
「伶士…おまえも逃げろ!」
「え…」
その時、ドーン!と衝撃音が響き、壁からグラッと揺れる。
またしてもギャアァァァッ!と魔獣の叫び声が響いた。
魔獣は見境なく突進したのか、壁に正面衝突したようだ。
【にんげ…ん…にげて…】



