無線から『はあぁぁ…』と、綾小路室長のため息が聞こえてきた。



『なずな…完璧魔獣に感情移入しちゃってますね…』

『…室長、準備整い次第、突入します』

『急げ!なずなに一般市民を殺させてはならない!』



綾小路室長が慌ててるのか、無線の向こうの状況も聞こえてきた。

え…この慌てぶり。

相当ヤバいの…?

なずなが人を殺すって、おい。

おい…。



…でも、今のこの怒りに溺れた状態じゃ、あり得ない話でもない。



なずなが人を殺す…?

その力で…?

…俺をも助けてくれた、その陰陽師の力で?



(……)



それは…!




「…おいっ!おまえ、さっきから何ワケのわかんねえことばかり言ってんだ?」

「藤村さんに何したんだ!俺達VIPに楯突いて…タダじゃ済まさねえぞ!」



一方、なずなの前には、高橋を背に庇うように、VIPの連中が立ちはだかる。

先ほどの藤村の件で、お怒りなのか。

男子四人で、一気になずなを囲んだ。