そう怒鳴り散らして、檻越しにバケモノを足の裏でバコン!と蹴りを入れた。

魔獣は衝撃で、フラッと後ろにフラついている。

そして、またキリキリ…と、声をあげた。



「…うるせぇぞ!コラァ!」



魔獣に蹴り…なんてことを!




「…何してんだよ、クズ」



それを見ていたなずなは、フラッと足を前に踏み出す。

フラリと高橋の方へと歩いていった。




「…さっきの女の子も、あのガイシャも…この魔獣も…クズなあんたらのくだらないオモチャになるために、生まれてきたんじゃねぇよ…」



なずなの声は、重く響く。



「人間ってのはな?…誰もが、幸せになるために生まれてきたんだ…!」

「…あぁ?綺麗事か?…やんのかこの女あぁっ!」

「………」



高橋の方へ?…まさか、ここで高橋にも?!

軽く払っただけで、手がオシャカ…。

恐らく、拳一発は、とんでもない事に…!




『…なずな!…なずな!やめなさい!怒りを抑えなさい!…なずな!』