…全員、顔を知ってる。
この状況に、それも複雑なワケで。
薫も…いる。高橋の隣に。
「………」
なずなは無言で、俺から囚われの猪狩を乱暴に後ろ襟を掴んで取り上げる。
猪狩の「ひいぃぃっ!」という情けない悲鳴が響いた。
そして、囚われの猪狩を乱暴に前に突き出す。
それを見て、辺りは一気にザワッとしていた。
「…は?猪狩?!」
「ど、どういうことだ?!」
「す、すみませんっっ!捕まってしまいましたぁっ!」
「はぁっ?!なんだおまえは!」
仲間を捕らえられたという事実を知り、連中らは一気にこっちを警戒する。
みんな、気持ち後退りしていた。
「中等部か?高等部か?…見ない顔だな?!」
「…ま、待って!…れ、伶士?」
その声は…薫。
なずなの後ろにひっそりと立っている俺を見つけてしまったその表情は、目を見開かせている。
すると、全員が全員一斉に俺の方を見始める。
「…は?橘っ?!」
「何で橘がっ…!」
「何で学園を辞めたヤツがここにいるんだ?!」
とうとう気付かれた。
なぜ、俺がここにいるのか…そりゃ驚くだろうな。



