突然責め立てられた猪狩は、何のことやらパニックになっているが。

なずなも、信じがたい現実に興奮しているようだ。焦ってるのか、早口。

仲裁に入ったら、逆に怒られた…。



『待って待って待って、なずな。どういうことですか?これは』



そこへ、綾小路室長の冷静な口調が差し込まれると、なずなは「うっ…」と急に黙り込んだ。



『黒い羽根を嘔吐する魔族…剣軌くんから話は聞いてたけど、これがそう?』

「あ、あぁ…」

『じゃあ、さっきの猩々鬼は、あの黒い天使の…《マントラ》の生き残りの彼が関わってることで間違いないんだね?』

「………」

『…だとしたら、ちょっと話は変わってくる。でも、あくまでも、このミッションをベースに問いただしていこう?…そこの彼に話を聞いて?』

「あぁ…」



綾小路室長、ナイスフォローだ。

このアドレナリン大量放出中のなずなを黙らせた。



改めて、猪狩に話を聞くこととする。



「…猪狩、さっきの掃除のおじさんは、いつからここにいる?…おまえがVIPとしてここに来た時にはもういたのか?」

「あ…」