「ナウマク・サンマンダ・ポダナン…ギャキ・サラバビギナン・ソワカ」
印を結んだ手を赤鬼に向けると、ドンッ!と空気が波打ち、衝撃波が繰り出される。
そして、再び印を結ぶ。
「…禍者よ、いざ立ち還れ元の住処へ…」
すると、紫のモヤはぐるぐると蠢くスピードを増し、ガバッと大きくなる。
中央に『穴』が開いた。
「くっ…くくく…」
ぐるぐるすまき状態の赤鬼ゴリラ。
嘔吐した黒い羽根を口元に残しながらも、笑い出す。
これから強制送還されるっていうのに。
何で、笑ってるんだ…?
この嘲笑いに、この負けず嫌いが反応しないワケがない。
指で印を結んで術を唱えながらも、眉間にピキッと皺が寄る。
「…形無き弓よ、千早ぶる神の神弓、放つ生矢よ、魔力を的と為せ…!」
そして、すまき状態の赤鬼の体がモヤの穴へと引き摺られていく。
赤鬼ゴリラは、特に抵抗する様子もなく、ただ嘲笑う。
「…今度は、我々に勝てるか?…神童どもよ?」
「なっ!…き、急急如律令、閉門!…『封印』!」