俺の返答に反応して、固まっていた表情がみるみるうちに変わっていく。
大きい目は極限に見開き、口元は中途半端に開く。
ザ・驚愕。
「…え。え?えっ!…えぇっ!」
「『え』ばかりだな?おまえ。まさか、俺がやられっぱなしで黙ってるとでも思ったか?」
「えぇっ!」
ギアが上がったままなので、強気な発言で攻め込んでしまう。
強引意地悪お坊っちゃまだ。
「な、何だそれっ…あ、あれは…!そ、そのっ」
負けず嫌い女、負けじと反論しようとしてらしいが。
先ほどキスされてしまった俺と目が合うと、「ひっ!」と悲鳴をあげてパッと逸らされる。
何だなんだ、この立場逆転具合。
いつも大魔王のように偉そうにしているヤツが、今は俺の腕の中で小動物のように怯えて小さくなって。
いつもイジり倒されて、翻弄されまくっている俺が、強気とキスでヤツを困らせている。
この力関係、悪くない。
「ち、ちょっとっ…」
「黙ってろ」
でも、優位な立場を勝ち取っていても。
今一番、大好きな人を抱き留めて胸の中にきつく埋めているこの状態は、俺だって緊張する。
心臓の音、うるさい。
なずなにも、聞こえてんじゃねえかな…。
そんなことをも誤魔化すかのように、両腕に力を込めて、更に体を引き寄せる。



