だけど、ギャル友の川村がサッカー部に加わったことで、ひょっとしたら。
なずなと会う機会もまた増えるんじゃないかなーと思ったりもして。
そんな淡い期待をしてしまう。
だなんて…。
あの手この手で接点をどうにか増やそうとする俺。
計算高。セコい。
でも…そんな他力本願だろうがすがりたいのには、理由がある。
それは、ここ最近の経過にあった。
先週の、沙羅先輩の件だ。
普段、大魔王のように偉そうにしていて、本当に強い。
強がり、意地っ張り、負けず嫌いで。
そんななずなが。
『…助けたかったぁ…』
魔界のNo.2である、あのラリキマ(…)魔族・雷帝を前に手も足も出ず、沙羅先輩を連れて行かれてしまい。
自分の無力さを嘆いて、泣いた。
…まあ、沙羅先輩が魔界でエロの猛威を奮って、こっちの世界に追い返されたことは、なずなには内緒の話だけど。
弱々しく涙を流してる、そんな姿を見て。
いたたまれなくて、何とかしてやりたくて。
思わず、抱き締めた。
…あの時、きっと俺は。
あぁ、こいつのことは。
俺が護らなきゃいけない。
そんなことまで、考えてたんじゃないかと思う。



