これだけ光を発しているのに、斜め向かいのイチャラブカップルは、こっちに注目しない。
どんだけイチャイチャに集中してるのか、この光自体、他の人間には見えないのか。
そして…なずながパンと静かに手を合わせる。
その光は弾けるように輝きを放って、床に降りた。
…おぉっ。式神、参上するのか?
光が消え去り、その式神が姿を現す。
だが…。
(…ん?)
そこに舞い降りたのは…。
シルエットが小さい。
人間でもなければ、女子供の姿をもしていない。
ワンっ。ワンワンっ。
鳴き声が耳ではなく、なぜか頭に響いてきた。
この時点で、このリアル世界の住人でないことがわかる。
住人…いや、住犬?
ワンワンワンっ。
犬…。
犬だ。
しかも、小型犬。
茶色く毛足が長い。だいぶ長目でうっとおしそう。カットしてねえのか。
顔回りの長い毛足は、頭のてっぺんにちょこんと乗っかるように、ピンクのリボンで結んである。
そのもしゃもしゃな長目の毛足から、円らな瞳がうるうると光っており。
ワンっ。と鳴くその口からは小さい犬歯がチラッと見えていた。



