無気力な一匹オオカミ男子に懐かれました。

なぜか名前を呼ばれてドキッと心臓が跳ねる。


「……は、はい」


「朝比奈は確か、数学得意だったよな?」


「えっ、私……ですか?」


思わず自分を指差して聞き返したら、松丸先生が手招きしてきて。


戸惑いながらも席を立ち、先生と蓮水くんの元へ向かう。


「悪いが今からちょっと蓮水の勉強を見てやってくれないか? 朝比奈が見張っておいてくれたら、蓮水もちゃんとやるだろう」


なにそれ。私が蓮水くんの居残りに付き合うってこと?


まぁべつに、私は構わないけど……蓮水くんはいいのかな?


「い、いいですけど……」


私がそう答えたら、先生が私の肩にポンと手を乗せた。


「いやー、すまないな。助かるよ。ほら蓮水、朝比奈が教えてくれることになったからちゃんと頑張れよ」


「えっ。マジ?」