「でもさぁ、花乃。卵の特売に目を輝かせるのもいいけど、もっと男子にも興味持ったら~?」


「えっ」


麻里ちゃんが机に手をつきながら私をじっと見てくる。


「だってー、花乃って全然男子に興味なさそうなんだもん。好きな人くらいいないの?」


「うーん。今のところは特に……」


「うちの学年、けっこうカッコイイ人たくさんいるよ? それに花乃は可愛いんだから、その気になればいつでも彼氏できるって。せっかく高校生になったんだから、恋愛くらいしなきゃもったいないよ~」


なんて、麻里ちゃんにはいつもこんなふうに言われるんだけど、私はまだ、男の子をちゃんと好きになったことがなくて。


もちろん、全然興味がないわけではないんだけど、元からあまり男子と絡むほうでもないし、彼氏どころか好きな人さえできないまま高校生になってしまった。