元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

どうやってこの場所へ来たのかわからない。

杏奈は目の前のベッドで、眠る母をじっと見つめていた。



杏奈の携帯への着信は母の病院からだった。

母が危篤だと知らせる電話に、杏奈は仕事を投げ出して病院に来た。

秘書課の上司に早退する連絡だけ入れて、タクシーでスーツのまま病院に来た。


もし、自分が病院に向かっている間に何かあったらどうしようと全身が震えて仕方なかった。


病院につくと担当医から夜までは持たないかもしれないと宣告された。