瑠衣はパフェを食べる手を止めて杏奈の方を見た。
その口にチョコソースがついていて、杏奈は耐えきれずペーパーナプキンでそのソースをふき取る。
「その資料が何かの役にたつかもしれない。その資料には実際には使用しなかった成分についても研究の結果が書かれてたはずだから。」
「どこにある?」
「その資料は社長室じゃなくて製品開発部の書庫にあるはず。前にその書類を書庫から前社長に届けたことがある。」
「そこになら他社が使ってる成分についても書かれてるかもしれない。」
瑠衣はきらきらした瞳で杏奈を見た。

「ありがと。杏奈。」
「まだ、その資料が使えるかは」
「いいんだよ。希望が見えた。ほら、バナナ食え」
スプーンに大きくバナナとアイスクリームをのせて杏奈の口に運ぶ瑠衣。

杏奈は口いっぱいに頬張る。

瑠衣は満足そうに杏奈の口を拭きながら微笑んだ。