「今離れて行こうとしてる取引先が、うちから離れることに対して惜しいと思ってくれる何かが欲しいんだよなー。それが難しい。」
結局食事の後に運ばれてきたパフェを、杏奈はお腹がいっぱいでほとんど食べられずに瑠衣が食べている。これも昔と一緒。はじめは今日こそデザートを食べると意気込む杏奈だが、メインを食べ終えるとデザートの余裕がなくなりあきらめることになる。そこでいつもデザートを一つだけ注文して、杏奈は数口食べてあとは瑠衣が引き取るというのが二人のお決まりのパターンだった。
「離れられない何か・・・。だから取引先の外部に発注している製品のデータも欲しがったの?」
「そう。他社の製品を知らなければうちの良さを出せないだろ」
「そういうこと。」
杏奈は瑠衣が就任したてのころから、取引先が離れていくことを見通して準備を始めていたのだと知った。
「親父の代で開発した製品はやっぱりすごい。でもいつまでもその製品に縋り付いていても、他社だっていろいろと開発が進んでるし、同じような製品だって出てきてる。新しい何かを今すぐに研究して成果を出すのは難しい。」
「うちだけの・・・何か・・・」
「ほら」
話の途中で瑠衣がパフェに入っていたバナナを杏奈の口に運ぶ。
一瞬戸惑ってから杏奈は口を開けた。
結局食事の後に運ばれてきたパフェを、杏奈はお腹がいっぱいでほとんど食べられずに瑠衣が食べている。これも昔と一緒。はじめは今日こそデザートを食べると意気込む杏奈だが、メインを食べ終えるとデザートの余裕がなくなりあきらめることになる。そこでいつもデザートを一つだけ注文して、杏奈は数口食べてあとは瑠衣が引き取るというのが二人のお決まりのパターンだった。
「離れられない何か・・・。だから取引先の外部に発注している製品のデータも欲しがったの?」
「そう。他社の製品を知らなければうちの良さを出せないだろ」
「そういうこと。」
杏奈は瑠衣が就任したてのころから、取引先が離れていくことを見通して準備を始めていたのだと知った。
「親父の代で開発した製品はやっぱりすごい。でもいつまでもその製品に縋り付いていても、他社だっていろいろと開発が進んでるし、同じような製品だって出てきてる。新しい何かを今すぐに研究して成果を出すのは難しい。」
「うちだけの・・・何か・・・」
「ほら」
話の途中で瑠衣がパフェに入っていたバナナを杏奈の口に運ぶ。
一瞬戸惑ってから杏奈は口を開けた。



