「もう!その目は反則でしょ!」
杏奈はその瑠衣の表情に弱い。
瑠衣の押しに負けた杏奈に瑠衣は笑いながら満足そうに頷いた。
「そう来なくちゃな」
「・・・もう・・・」

再会してから瑠衣のペースにのまれっぱなしだと思いながら、断り切れない杏奈。

運ばれてきたオレンジジュースを飲んだ時も上目遣いで杏奈を見ている瑠衣に逆らえずつい、
「一口どうぞ」とグラスを渡していた。

満足そうにオレンジジュースを飲む瑠衣に、またやってしまったと反省する杏奈。

昔からそう。
瑠衣は一口だけ杏奈の注文した飲み物も食べ物も食べたがる。

そして、注文したラザニアとオムライスがそろうと、杏奈は瑠衣に自分のラザニアを分けて渡し、瑠衣からもオムライスが渡される。

一口食べたいのは瑠衣だけじゃなく、杏奈も同じだった。