元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

杏奈への気持ちは5年前に別れた時よりももっと大きくなっている。
でも、今この気持ちを杏奈にすべてぶつければ壊れてしまうものがある。

それ以上に、今は父から継いだばかりの会社の状況をよくしなくてはならない。

杏奈に不甲斐ない自分ばかり見せている状況を打破してからじゃないと杏奈に気持ちをぶつけられない。それまでは我慢だと自分に言い聞かせていたのに、すぐに破りそうになる。

それは父から送られてきた社員の名簿に、新社長秘書として杏奈の名前があったその瞬間からさらに加速して膨らんでいる杏奈への気持ちが邪魔をしていた。

抱きしめたものの、ダメだとわかっている心の中の自分がストップをかけていた時、ちょうど鳴った自分のお腹に救われながら、話題を変えた。


杏奈の久しぶりに見せてくれた無邪気な笑顔と表情に、一刻も早く杏奈に心から気持ちを伝えて想いをぶつけられるように、自分の会社での地位を確立させようと決意した瑠衣だった。