元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

「俺はいいの。自分の車で来てるし、それに俺は男」
「男女差別です」
「ばか。お前昔から自分のキャパオーバーして頑張りすぎると体調崩すだろ？しかもものすごい悪化させて毎年のように入院してただろうが。」
「昔は昔です。最近はありません」
確かに杏奈は瑠衣と付き合っている時も毎年入院騒ぎを起こしていた。肺炎・・・ウイルス性の腎盂炎・・・気管支炎・・・などなど・・・。つい自分のキャパオーバーで頑張ってしまうのは図星だ。瑠衣には絶対に言わないつもりだが、前年度も一週間インフルエンザから肺炎の一歩手前まで悪化して入院をした。
「お前と俺とでは造りが違うの。」
「でも、目の下のクマがひどいです。それに痩せたし。ちゃんとご飯食べてるんですか？どんどん疲れて。眉間にしわ寄せて、見てられません！」

言い切ってから、目を丸くしている瑠衣に杏奈ははっとして自分の口に手をあてた。

売り言葉に買い言葉でつい出てしまった本音。

一瞬二人を沈黙が包み込む。