元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

瑠衣は一通りの社員からの報告を頷きながら聴いていた。

すでにいつ製造した製品に不備が起きていたのか確認は終わっており、どの病院や薬局へ納品されているかも調べ終えていること、連絡をして在庫分は不備の無い製品と交換を始めている。

社員が一通り報告を終えると瑠衣が口を開いた。

「まずは今日中に事故報告書を提出してください。私の手元に今日中にはほしいです。反省文ではなく、なぜこういう事態が起きたのか、それからどうすれば起きなかったのか。二度と同じミスが起きないために具体的に記入をしてください。」
瑠衣の言葉をうつむきがちに聞く社員たち。
大の大人が体を背中を丸めて報告する姿に、どれだけことが重大かがあらわれていた。

「それから」
瑠衣がそれまではかなり冷静な表情で話を聞いていたのにも関わらず、厳しさをはらむ目つきで社員を見る。

「報告が遅いことが問題です。同じ事態が起きないことが一番ですが、今後はこれだけの重大なことだけではなく、機器の不備や製品に関しての問題はすぐに私まで報告をあげてください。」
瑠衣の低い声に社長室に緊張が走る。