「吐きそう」
「大丈夫だよ。緊張しすぎだろ。ただの中年のおっさんと思え。」
「無理・・。」
大きな大きな門構えの前で立ちすくむ杏奈。
明るい色の夏用のワンピースにヒールの靴。
隣に立つ瑠衣もスーツを着ている。
「大丈夫だって、隣に座っていてくれれば俺が話するから。」
「・・うん」
「なんか限界が来たら鼻かけ。」
「鼻?」
「そう。そしたら俺ちゃんとキャッチするからさ」
「・・・わかった」
杏奈の手には大きな袋に入ったかなり老舗和菓子屋の菓子折りが入っている。
それは杏奈が瑠衣の父に挨拶をしに行くことを聞いていた杏奈の父が前日に杏奈の家に届けに来たものだった。
「母さんが生きていたらきっとこうしたかったと思うんだ」
と、ぶっきらぼうに娘の手に渡して帰って行った父の背中を思い出し、杏奈は紙袋の取っ手をギュッと握りしめた。
「大丈夫だよ。緊張しすぎだろ。ただの中年のおっさんと思え。」
「無理・・。」
大きな大きな門構えの前で立ちすくむ杏奈。
明るい色の夏用のワンピースにヒールの靴。
隣に立つ瑠衣もスーツを着ている。
「大丈夫だって、隣に座っていてくれれば俺が話するから。」
「・・うん」
「なんか限界が来たら鼻かけ。」
「鼻?」
「そう。そしたら俺ちゃんとキャッチするからさ」
「・・・わかった」
杏奈の手には大きな袋に入ったかなり老舗和菓子屋の菓子折りが入っている。
それは杏奈が瑠衣の父に挨拶をしに行くことを聞いていた杏奈の父が前日に杏奈の家に届けに来たものだった。
「母さんが生きていたらきっとこうしたかったと思うんだ」
と、ぶっきらぼうに娘の手に渡して帰って行った父の背中を思い出し、杏奈は紙袋の取っ手をギュッと握りしめた。



