玉ねぎを選びながら淡々と話をする瑠衣。
「なんで?」
「なんでって。いいだろ別に。親の許可がいる年齢でもないし。」
「そういうことじゃないけど」
「いいから。今日は俺の好きにするって決めてるから」
好きにするとはいっても、やってくれていることは杏奈が口にしたことを現実にしてくれているだけだ。明日は仕事。朝から重要な会議が入っている。
無理はできないと思っている杏奈が玉ねぎを選び終えた瑠衣に手を引かれてもぎこちなく歩いていると瑠衣が杏奈の顔を覗き込んだ。

「眉間にしわ」
「・・・だって」
「だってはなし。早く作らないと、腹減った。」
「・・・」
「一番高いアイス買っていいぞ」
まだ戸惑っている杏奈にそう言って微笑む瑠衣。

「・・・2個」
困ったように言う杏奈。