元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

「・・・すまない。杏奈のこと、大切な気持ちは変わらない。でも・・・母さんのことを考えると・・・ごめん。」

父は私よりも、母のことで精いっぱいだったんだ。

でも、娘である自分にもっと教えてほしかったと杏奈は思った。
母が亡くなってから知るのではなく、その前に。

結局父との話は平行線のまま進まず、杏奈はぶかぶかの時計を握りしめるようにして、店を出た。

机の上に封筒をのこしたまま。




いろいろと気持ちを整理するためにもまだ時間は必要だった。