元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

「それよりももっとでっかい後悔はあの時、友達から杏奈のお母さんの病気の話を聞いたとき日本に帰ってこなかったことだ。」
瑠衣は杏奈の頭にそっと手を触れた。
「杏奈のお父さんから、5年前に杏奈のお母さんとした約束の話聞いた。お母さんの葬式の日。」
「・・・」
「俺、ばかだよなー。杏奈のお母さんの病気のことを聞いて、それが理由で一緒に杏奈は来なかったのかもしれないって思ったんだ。きっと杏奈つらいだろうなって。苦しいだろうなって。そばにいたいなって。でも、日本に帰ろうって思ったけど来なかった。あの時帰ってこなかったこと、俺今、すっげー後悔してる。」
杏奈の顔がどんどんとゆがむ。

冷やしている瞳から、次々に涙が流れた。

「ちゃんと支えられる男になって戻ってこようなんて・・・。その間、杏奈が一人でお母さんの病気ごと背負って、つらい思いしてたのに・・・。こんなちっさい体でさ。たった一人で。すぐ無理してぶっ倒れるのにさ。誰かが支えないとキャパオーバーしても全速力で走ろうとしちゃうのにさ。」
「・・・っ・・・」
杏奈は小さく嗚咽して泣き始める。