元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

「もう少しで、ちゃんと結果と共に杏奈のもとに帰れるって思っていた矢先のことだったから、俺悔しくてさ。でも、家族も大切だしって思って、武藤製薬についてゼロから勉強してた時、社員名簿に杏奈を見つけたんだ。苗字が変わってないことに心底ほっとした。」
「・・・」
「しかも何を思ったのか親父が社長秘書に指名したからとか言い出してさ。ラッキーって思ったよ。正直。」
「・・」

「杏奈に再会して、5年の間に気持ちはもっと膨らんで自分の手に負えないくらいでっかくなってたんだって気づいた。だから、いきなり気持ち杏奈にぶつけた。ごめんな。再会してすぐに気持ち言うなんてフェアじゃないよな。杏奈はきっと、立場考えてくれてたのにさ。俺にその余裕なかった。」
「・・・」
「すぐにでも杏奈を自分のものにしたいって、子供みたいに思ったんだ。もう離したくなくて、どうしようもなかったんだ。でもさ、俺、中途半端じゃん。社長とはいっても肩書だけあって中身が全くない状態で、杏奈に気持ちぶつけたこと後悔した。言ってから後悔って本当にガキだよな」
杏奈は自分だって口や態度には出さなくても、同じ気持ちだったと心で言う。