元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

「ドライヤーしろ。ちゃんと。」
浴室から慌てて出た杏奈を見ると瑠衣が近づき、肩から掛けていたタオルと奪うと杏奈の頭を拭き始める。
「自分で」
タオルを返してもらおうと杏奈が手を伸ばすと「ダメ。」とタオルを高くあげて杏奈から取られないようにする瑠衣。
杏奈はあきらめて瑠衣に頭を拭かれ、ドライヤーまでかけられた。

「特製元気が出る野菜たっぷりスープ(海鮮もたっぷりトマト仕立て)です。」
ものすごく長いネーミングを言いながら杏奈の前にスープを出す瑠衣。

昔、杏奈が体調を崩すと必ず作ってくれたスープだ。

「熱いから気を付けて食べろよ？」
「ありがとう。」
杏奈は出されたスープをすくい、何度か息をかけて冷ましてから口に入れた。

「おいしい」
思わず笑顔になった杏奈に瑠衣も笑う。
「そうか。おいしいか。よかったー。久しぶりに作ったからさ。」
そう言って安心したように瑠衣もスープを食べ始めた。