元カレ社長は元カノ秘書を一途に溺愛する

杏奈は母からの最期の願いを聞き入れた父の決意と、二人の愛が自分の想像をはるかに超えて大きなものだったと知った。

母が危険だと連絡をしたときも、父はやるせない思いのまま、病院の廊下まで来て顔は出さずにいたこともその時杏奈は知った。


母が余命宣告されていた期間を過ぎて生きていることができたのも、父ともう一度会いたいという母の希望があったからじゃないかとその時になって知った。

病室の窓の外を見ながら、同じ空の下、約束を守り自分をおもい続けてくれている父の存在が母の支えだったのではないかとも思った。




今まで自分だけが母を支えていると思ってがむしゃらに頑張ってきたつもりだった杏奈は、全身から力が抜けていくように感じた。