母を想えば



そんなに号泣するとは思わなかったから、
私の視界ももれなく貰って滲んでいった。


産まれてきた我が子の手は想像以上に小っちゃくて、その命は想像以上に力強かった。




「ねぇハヤト。」


「うん?」


「窓開けて。」


「暑い?大丈夫?」


「・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・あれ!?蕾みが開いてる!!

スゲー!俺達に合わせて開花も遅らせてくれたのかな!?」


「・・・・・・・・・。」


「トモコ・・?」


「感じる・・・・・。」


「何を・・?」


「あの子が運んでくれた・・
春の香り・・・。」


「・・・・・・・・・・。」



鼻からスイカが出るどころじゃない。


スイカより大きな果物がパッと思いつかないけど、とにかく、

鼻から巨大なものが出てきたような感覚の後、確かにこの嗅覚が捉えた。


その正体は桜かもしれない。
ツクシかもしれない。

ポカポカ陽気と乾燥した空気と風が運んだのかもしれない。


漠然と、でも確かに嗅覚が捉え、
頭に浮かんだ“春の香り”・・。