母を想えば



“霊視コンビ”


そんな豊川さんとコンビを組ませてもらってから、

刑事課の仲間は僕達の事をそう呼ぶようになった。


かくいう僕も・・
豊川さんと同じ力を持つ。


問答無用に全ての死者が視える豊川さんと違って、

僕は視える時、視えない時・・
と不安定さがあるけど、

小学生の時に突如として開花したこの力。


“専浄寺”の息子として何か特別な血を引いているからのか、

幼少期に直面した“母の死”という出来事が引き金になったのか。

とにかく僕も、豊川さんと同じ“そっちの世界”の住人だ。




「はいっ!テツさん、
ちゃんと食べなきゃダメですよ~?」


「ありがとうございます。
ご馳走様でした。」



一口だけ食べたカツ丼をタッパに入れてもらった豊川さんと共に、

カエデちゃんや漁師さんに挨拶をして元気飯を出る。


「さてと・・1本吸ってからでも宜しいですか?」


「あ、はい。関本主任や長くん達はもう向かってますので。」


「ゴホッゴホッ!それにしても、朝の時間帯というのは一番通報が多いですね。」


「ですね・・。大抵の殺人は夜の人通りが少ない時間帯に行われるから、

遅くとも朝になって人通りが増えれば発見される・・。

今回の通報者は、朝練でランニングをしていた高校生です。

“50代ぐらいの年配の男の人が血を流して倒れている”と・・。」


「星野君の最近の戦績は?」


「7割ほどです。」


「では恐らく今回も視えるでしょうね。
おめでとうございます。」



煙草の火を消した豊川さんと共に、仲間の皆が先に乗り込んでいる犯行現場へと向かう。