母を想えば



「星野さん・・
雰囲気が変わりましたね。」


「満島さんに切ってもらいました。」


「・・・よく似合ってます。

一瞬、妻がカットしたんじゃないかと錯覚しました。」


「・・・・・・・・・・。」



店内を包む一瞬の静寂。

豊川さんがフウッと息をついて・・


「煙草、吸いますか?」


「・・・・ハハッ・・あの頃は吸ってたの覚えてくれてたんですか?」



「星・・。」

「吸いません。」



本来なら禁煙の店内。
オシャレな雰囲気をぶち壊す2本分の煙。


“もう店内に有害物質が充満しても問題無い”・・そんなメッセージなのかもしれない。




「あ~吉田さん。」


「はい。」


「きっとあなたの事だから、自分の口からは絶対に言ってくれないでしょう。

だから私から、
こちらで立てた仮説をお伝えします。」


「・・・・・・・・。」


「梅田課長、関本主任と、
3人で考えた仮説です。

・・・星野君。

のけ者にして申し訳ございませんでしたが、君も一緒に聞いてください。」


「・・・・・・。」



「今日で10年ですね。」


「・・・・はい・・・。」


「10年前の今日15日。

あなたからマホさんを奪った主犯の死刑が執行されました。」


「・・・・・・・・・・。」


「そんな偶然も重なったからこそ、何が何でも今日実行したかったんでしょうね。」


「・・・・・・・・・・・・・・・。」