母を想えば



『豊川ぁ。』


「・・・・・・・・・。」


『20年前の時のように、
犯罪者には徹底的にやってくれよなぁ?

県警や検察の連中に、取調室で殴る蹴るの暴行受けたあの痛みウヒャッまだ忘れてないぞ?

俺を殺した奴にも同じ事やってくれよなぁ?』


「あ~残念ですが、
現在はコンプライアンスが厳しいので、

もう一昔前の取り調べは行っていません。」


『ウヒャッまぁいいさ。
期待してるぞ豊川ぁ星野ぉ。

“仕返し”したところでその気持ちは晴れたのか?

余計に惨めになっただけじゃないのか?

同じ犯罪者の立場になる事がどんなに愚かな事なのか?

プヒッ俺を殺した奴にたっぷり聞いておいてくれよなぁ。』


「あ~才谷。
成仏する前に一ついいですか?」


『なんだ?』



「お前、【嘘】ついたな?」


『!?』


・・・嘘・・・?


「え・・豊川さん、嘘って・・?」






「お~い!テツさ~ん!ヨシトく~ん!」


その時だった。

背中から掛けられた声に振り返ると・・


今日も鑑識帽を逆に被って、

“今ちょっとシリアスな雰囲気だからちょっと下がってて”

と思わずツッコミたくなるような軽快でリズミカルなステップ。


先ほどから現場に残された様々な痕跡を採取していた・・

“長くん”こと長野君が近寄ってくる。