母を想えば



・・・胸糞悪い・・・。

目の前に立つ相手が僕達にしか視えない“空気”じゃなければ・・

この指が全部折れるまで・・
・・殴ってやりたい・・。


豊川さんが顔色一つ変えず冷静に受け止めていたので、僕も気持ちを押し殺す・・。



『豊川ぁ。星野ぉ。
プヒッ悪いが“誰か”は分からないなぁ。

オッサンが“娘の仇”って泣き叫びながら俺に包丁突き刺してきた。

だけどブフッ灰原先生と俺が殺したのは6人もいるからなぁ。

誰の親かは分からないなぁ。』



「・・・豊川さん。どうしますか?
似顔絵作成に協力してもらいますか?」


「いえ、これ以上この男の話を聞いていたら耳が腐るので、この証言だけで十分です。」


「・・・才谷さんは、“嘘をついていない”とお考えですか・・?」


「残念ながら、こいつは人間としては屑ですが、被害者としては真っ当なようです。」






【被害者は、嘘をつきます。】


“霊視コンビ”でも・・

豊川さんと僕は、
ある部分が決定的に違う。


僕は・・まずは突如として命を奪われた被害者に寄り添いたい。

一方あの人は・・被害者が言う事に対し、
常に疑惑の視線を向ける。



“被害者の証言を鵜呑みにして、
誤認逮捕でもしてみろ?

こんなオカルトな力を信じてくれた仲間達に土下座すれば済むと思ってるのか?”



周りから見れば、

今にも倒れそうな弱々しい病人みたいな見た目の豊川さんが時折見せる、

鬼のような威圧感。


だけど今回ばかりは・・僕と豊川さんの立場が逆転してしまった・・。

というより、

“信じたくない”と、
被害者に寄り添いたくない自分、

“嘘はついていない”と、
疑惑を確信に繋げた豊川さん。


やっぱり才谷を殺したのは・・・