母を想えば



「あ、そうだお父さん!今度学校で“私のお父さん”って作文書くよ!」


「お!じゃあ“私のお父さんは今では現場サブリーダーを任せてもらってます”

って書いてくれよな!」


「でも“私のお母さん”でも良いよって先生に言われたから、お母さんのこと書く~!」


「っておい!!」





「残念でしたねぇお父さん?」


「ハルカはホントお母さんっ子だよなぁ。

こりゃ“お父さんのパンツと一緒に洗わないで”って言う日もそう遠くないかも・・。」


「あれ?もう既に分けて洗ってるよ?」


「なにーーー!!?」


「アハハハ!だってハヤトの作業着も下着も汗ヤバいもん。」



洗っても洗っても、
すす汚れて帰ってくる。

そのおかげで、ハルカの給食費も学費も滞る事は無い。

そのおかげでこの先も・・中学も高校も、


「美容師ってどうすればなれるの?」


「よく分かんないけど多分、
専門学校とかに行くんじゃない?」


「じゃあ最低そこまではしっかり稼がないとな。」


「あ、そういえば今度中学の同窓会があるんだけど、

確か美容師やってる子がいたはずだから情報収集しておくね。」


「おう任せ・・・。」




「ごちそうさま~!!」


「あ!!俺のスイカは!?」


「はいはい。香りだけあげる。」


「っ・・・・。」


手を洗いに行ったハルカに見られないうちに、

起き上がったその口にそっと風味だけ移してあげた。