母を想えば



「さてと・・・。
まずはどこから話しましょうか。」


「・・・・・・・・・・・。」


「星野君は、【灰原ジロウ】という名前に聞き覚えはありますか?」


「・・・いえ・・ありません・・。」


「ではまずは灰原についてお話します。

この男は今から40年ほど前、

16歳の未成年時に、
“連続幼女撲殺事件”を起こしました。」


「え・・・ちょっと待ってください。

それってもしかして・・8人の小学生が殺された“少年X事件”ですか?」


「さすがに事件自体については、
君も聞いた事があるようですね。」


「確か・・警察学校時代に教官の先生から聞いた記憶があります。

学校からの帰り道や、夕方の公園で遊び回った帰宅時を狙って、

近隣の小学生を無差別に襲い、金属バットでめった打ちにした残虐な犯行・・。」


「正確には被害者は9人です。

パトロールを強化していた当時の県警・所轄が、

9人目の小学生を襲っていた犯人を現行犯逮捕する形で、この事件は終わりを迎えました。」


「それが・・・?」


「はい。当時の犯人の年齢は16歳。

少年法に守られ、実名は公表されず、
マスコミは“少年X”と名付けましたが、

それが【灰原ジロウ】という男です。」


「・・・・・・・・・・・。」