そうなった原因もわからないから、病気みたいに治しようもない。



考え込んでいると「おい。」と声がした。



この声は・・・



「凌空?どうしたの?」



「奈津がぼーっとしてたから。しかもやたら辛気臭い顔しやがって。」



「ちょっと悩んでることがあるから・・・。」



「何かあったわけ?」



「看護師さんたちが何かよそよそしいなーって思って・・・。」



「何だそれ。別にきちんと働いてくれるならいいんじゃねーの。」



「いや、仕事での必要最低限の会話でも何か態度が違うというか・・・。」



「看護師って、女ばっかり?」



「?うん。私が関わってる人は大抵女の子だよ。1人だけ男の人がいるけど。」



「そいつも避けたりしてくんの?」



「・・・しない。」



なんとなくだけど、凌空の質問でわかってきた。



避けられているのは『女子』だけ。



男性看護師の暁十くんは何も変化がない。



女子が避ける理由なんて、たかが知れてる。



嫉妬が大半、あとはいじめられっ子気質でコミュニケーションが上手くできない人とか、空気が読めない人とか。



今回のことは、多分寺内先生絡みの嫉妬から起こったものだと思う。



寺内先生は、自分のテリトリーに踏み込んでくることを良しとしなかったんだろう。



それなのに、私がそれを簡単にやってのけた。



それを見て勘違いした人が、わたしの悪評を広めている。



これが、一番筋が通っていて、有力な説だと思う。



看護師さんたちに聞かないとわからないことはまだまだあるけど、大方予想はついた。



「奈津?抱え込むのは良くねーぞ。」



「わかってる。ありがとう、凌空。」



少し心配そうな凌空に微笑んで、私はある人のもとへ向かった。