side 紘基


「・・・なら、しばらく好きでいます。寺内先生のこと。」



そう言った西荻先生の目は、真っ直ぐだった。



本人の態度や視線から、俺に好意を持っていることはわかった。



冗談半分で言った一言だったのに、「フッてほしい」って言われるとは思わなかった。



なんで告白されてないのにフる必要があるんだ。



まぁ、俺が西荻先生を好きになるかどうかなんて、わからないんだ。



好きなら付き合う、好きじゃないならフる。



今まで通りでいい。



あいつに告ったときわかったけど、フラれるのはキツい。



自分は好きなのに、相手はそうじゃない。



それがどれだけ辛いことか。



俺だって、出来れば、告ったことで傷ついてほしくない。



もしも、彼女にもう一度きちんと告白されたとき、俺の気持ちは彼女に向いているだろうか。



ーーーーーー俺は、この想いを断ち切れるだろうか。





・・・なんてな。



忘れなきゃならないんだ。あいつのことは。



人様のモンになったあいつを、俺がいつまでも、うじうじ想ってても仕方ねーんだよな。



今更取り返そうなんて、無駄な悪あがきしたって虚しいだけだ。



だけど、



この胸に未だ燻り続ける火を、完全に消す方法なんか、俺は知らないよ。