「幸せそうな顔してんじゃねーよくそが」
「おーおー荒れてる荒れてる」
ケタケタと愉快そうに笑うそいつ。
ヤケ酒の相手、間違えたかもしれねーな。
ちょうど人の入りがピークの居酒屋で、大学からの仲である玄樹と酒を煽る。
「片想いしてる期間長すぎて結局伝えるのも諦めて幸せ願うとか、バカじゃねえの。」
まさに図星なその言葉に、グサッと刺された。
なにこれきっつ。ダメージでかっ。
「お前・・・そこはもうちょい優しく言ってくれよ。」
俺がそう言うと、そういう顔サイコー、とさらに笑うこいつは、多分かなりのサディストだ。
やっぱ人選間違えたよな。
「凌空ってほんと一途だったもんな。おかげで大学のヤツらはみんな西荻さんに近づけねーし。」
「バイト先までは防げなかったけどな。」
「あんときのお前の落ち込みようには笑った。」
俺の傷をどんどん抉るこいつ。
こんな性格してんのに、彼女には砂糖吐くくらい甘いんだから、いくつ顔を持っているのか、わからない。